RUMBLE DIALY

- 乱振日記 - 都内在住の社会人が、映画・IT・ビジネス・紅茶・料理・格闘技について書き殴るブログ

『ブラックスワン』

 
狂気はいつでもすぐそばにいる
 
 
可憐さ、純朴さに満ちたナタリーが、狂い、やせ細り、穢れていく様はとてつもない恐怖。ホラーなんかよりよっぽどの恐怖だ。見ながら初めて「こわい、こわい、」と口にしてしまった。
 
 
ドラッグによって狂って行く映画はありがちだが、クラシックバレエの迫力が映画を重厚にしていて見応えあった。またこのナタリーの役が臆病で優しくて、本当に今時の女の子っぽいから余計に現実感あって怖い。
 
の位置づけに迫る仕上がりなんじゃないか
 
 
そして
『レスラー』との比較でいえば、主人公はいずれも『身体』をつかった表現者だ。
プロレスとクラッシクバレエは対極的と言っていいほどの位置づけだが、『身体を使って、1回1回の刹那的な表現』であるところが共通点といえる。
芸術家というとどうしても、精神的な苦悩やドラッグへの依存などが取り沙汰されるが、”心身”両面をもってして芸術を体現する人には、うむを言わせない迫力と説得力がある。
痛々しく傷ついていく身体と、相反して高みを求める精神のバランス。そしてなぜか2人とも「やるしかない/やらされている」という感覚に陥っているのが興味深い。
 
もちろん二人とも強い意志の元、自身の体現をし続けたわけだが、
それは弱さの裏返しでもあるように思えた。
 
その構造自体は、一般人である自分にも当てはまることなんじゃないかと考えさせられた。